オウンドメディアの成果はトリプルメディアによって爆発的に伸びる場合も多いようです。トリプルメディアとは、オウンドメディアに加えて、今まで主流だった企業発信の視点に立ったペイドメディア、SNSのようにそれぞれのユーザーが発信、受信といった交流があるアーンドメディアとの合わせ技のこと。
ペイドメディアはコストも手間もかかる活動ではあるけれど、企業のブランディング的な効果はまだまだ大きいでしょう。アーンドメディアは様子をみながら…といった企業ももちろん多く、オウンドメディア単体ではっきりした成果を観察できるというわけでもありません。PV・UU・訪問数などの把握と改善は必要ですが、成功指標のひとつとして捉えましょう。
オウンドメディアの成功とは、むしろ各企業の目的によって決まるものといえます。たとえば良質の顧客をリピーターにすること、会社のブランディングイメージを上げること、幅広いユーザーに自社を知ってもらうこと、企業側のモチベーションや社員教育として…など、ゴールを複数、また大きなコンセプトを決めましょう。トライアンドエラーを繰り返すうちにそれが活性化につながり、大きな変化が起こるはずです。
オウンドメディアにおける成功とは?
あなたのオウンドメディア構築における成功の指標は複数あるはず。そのうちでもいくつか、どんな点に注意してオウンドメディアを成長させればいいかというポイントがあります。
1.検索につよいオウンドメディア
大切なのはコンテンツの内容。検索キーワードで上位になればあなたのメッセージにマッチするユーザーに出会える確率は高くなります。どのくらいSEOにこだわるかはゴール次第ですが、安定して潜在顧客の目に触れる機会が多いかどうか、チェックして役立てるしくみをつくりましょう。お悩み解決タイプのサイトなどではSEOがとくに重視されています。
2.ユーザー目線に立ったオウンドメディア
つねにユーザー目線に立てているでしょうか。わたしたちがコンテンツを通じてユーザーに伝えているメッセージ自体は広告に通じるものです。つまり、商品や自分の企業の良さを伝えたいということ。
しかしながら、オウンドメディアの意図は、ユーザー目線に立ち、どちらかといえば抽象的な満足やよろこびを与えること。ペイドメディア的な要素と価格として還元できないサービス的な要素、そのバランスを上手にとれているでしょうか?SNSなどを利用して大きな成果を上げている企業は、ユーザーが発信するときと同じ視点に立つ工夫がしっかりできているといえます。
3.ブランディングに通じているオウンドメディアかどうか
すでにペイドメディアで大きな成果を上げており、企業のブランドが認知されている場合は、オウンドメディア構築によってさらなるブランディングが期待できます。失敗するとブランドイメージを損ねることにつながります。B to Cタイプの企業はとくにユーザーからよくチェックされているはず。
認知はこれからという企業は、オウンドメディア構築=ブランディングでもあります。どちらにせよ、オウンドメディアがブランディングの機能を充分果たしているか、試行錯誤は必要です。
IBMのmugendai(無限大) – イノベーションを起こしたいユーザーを牽引するコンテンツ
ターゲット:ビジネスマン
おもなコンテンツ:イノベーションを起こしたい人、問題解決を模索している人のヒントになるようなコンテンツ。インタビューなども多い。
特徴:トップページの各コンテンツで語り手や書き手の顔が見える。説得力、親近感が大きく増すので、コンテンツをしっかり読んでもらうためには、顔の画像はのせたいところ。
ターゲットをビジネスマンに絞っています。教育、経済、クラウド、データマイニング、エコ、女性の働き方…働くことにチャレンジや誇り、社会参加の精神など重要性を感じているビジネスマンがペルソナでしょう。当てはまるペルソナなら読んでおきたいキーワードが多く、インタビューが多いのも魅力。どちらかといえば真面目な路線にやわらかさが加わり、ユーザー目線に立てるという効果があります。また、「いいね」のように各コンテンツにお気に入りされた数値をのせているのもそういった点からでしょう。
WIREDのWIRED.jp – クリエイトに関するあらゆることにリンクし、アイデアをつなぐ
ターゲット:クリエイター
おもなコンテンツ:デザイン、アート、ビジネスのほか、時勢に合わせて迅速に多くの人が深く知りたいテーマを見つけた、多方向な視点から組んだコンテンツ。
特徴:必ず目を引く画像やグラフと組み合わせている。雑学的なコンテンツも織り交ぜ、クリエイター向けの技術的なコンテンツ・精神的なコンテンツをメインに展開。都市や未来を考え、アイデアのリンクなどのコンセプトが伝わってくる。製品とのタイアップもみられる。
IDEAS+INNOVATIONSというコンセプトがしっかり発信側に浸透しているため、さまざまな視点からスピーディーにつくられたコンテンツではあっても、どのページにも「WIRED色」のようなものがあります。つねにちょっとしたエッセンスを添え、遊び心のある視点から切り込んだり深めたり。その工夫がクリエイターや研究者の気持ちをつかむのでしょう。ファンを着実に増やし、紙媒体のWIREDとともに成長しつづけチャレンジしつづけているようなブランディングが印象です。
地球の歩き方 – 特派員のコアなブログが確実にターゲットの気持ちをつかむ
http://tokuhain.arukikata.co.jp/
ターゲット:旅が好きな人
おもなコンテンツ:旅行全般に関して必要とされる情報、各国への経路やホテルなどの案内など。旅に関する情報はここをホームとして得られる。各国の情報を旅人目線で伝えるブログなども。
特徴:食、宿泊、経路、言語やマナーなどは基本的な情報としてしっかり載せており、更新されている。このサイトならではのコアな情報や危機管理に関する情報が見どころであり、頼りになるところ。また実際に各地にいる発信者のブログが読めるのも嬉しい。
『地球の歩き方』シリーズは愛されながら続いてきたガイドブック。血肉となったノウハウがしっかり活かされた、ユーズフルでしかもコアなサイト。トップページにつめこまれ気味の情報量は、ユーザーの好奇心をかきたてます。また、文章や画像の多さはこのサイトの場合は情報量の多さにつながり、誠実さや安心感を与えます。発信者側が楽しみながらつくっている雰囲気が伝わるのは、やはり現地から発信される特派員ブログが盛り上げているからでしょう。派手ではありませんが、ターゲットをしっかり絞っていることやテーマ自体にはビジネス的な要素があまりないことから、やわらかな印象になっています。
弁護士ドットコム – プロならではのユーザーへの細やかなケアでファンを獲得
ターゲット:法律について調べたい人
おもなコンテンツ:地域や相談事により細かく分かりやすく弁護士を検索できるように構成された弁護士紹介がメイン。そのほかの情報も充実しており、法律に関するニュースややわらかいトーンのコラムなど。
特徴:法律、弁護士に関するポータルサイト。メインの目的は、弁護士と、弁護士を探している人のマッチング補助か。必要な情報を分かりやすく、担当者の顔を見せ、ユーザーが安心できるように構成。コラムを読むだけでも、専門性が高いためかなりためになったり、弁護士に相談する前に解決したりということもあるはず。それだけにリピーターも多いよう。
専門性の高い分野で、必要とする人やシーンは限られています。でもよく考えてみれば、そういえば法律とは生活するうえでかなり身近なもの。見出しの明快さからも、幅広い「困った」の解答やヒントが見つかるだろうと思わせる魅力的なサイト。当初のメインは無料法律相談や、弁護士の紹介などでしたが、弁護士による、時事問題や生活での「困った」のヒントなどのコラムをメインに切り替えました。もともとのコンセプトがしっかりしていたため、アイデアや工夫、チャレンジを繰り返しながら質の良い記事を量産することに成功。多くのユーザーから信頼を得ています。
MEGA-Eastの職人Times – クチコミでしか広がりにくい分野を活性化し、らせん状の成長
http://www.shokunin-times.com/
ターゲット:暮らしや民芸、芸術にこだわりのある人、ものづくりに興味がある人
おもなコンテンツ:その名のとおり、日本各地の職人や、職人の製品の紹介。取材や研究をしっかりしていることが伝わってくるインタビューとともに、さまざまな工芸品の購入までつなげている。
特徴:職人の仕事という、ネットがなければ口コミでしか広まりようがないところがテーマ。どちらかといえばニッチな分野に切り込んだ仕事といえそうで、職人の顔が見えるというポイントが活かされている。そのまま商品購入につなげ、また訪れるユーザーを増やしていけるシステムが整備されている。ブログもあり。
見せ方を研究して構築しています。職人や工芸といった、すこしアナログな印象や良さを損なわないように、細かなところに気を配って構築されています。インタビューでも現場の画像を多めに掲載し、ユーザーの目を引きます。職人側からの期待、ユーザー側からの期待、両方に上手に応えています。
まとめ
以上、オウンドメディアの成功事例5つをご紹介しました。オウンドメディアの良い点は、サイトを見てその長所や短所を自分で研究できるところです。しっかりと研究を重ねて、レベルアップしていきましょう。