オウンドメディアは広い意味では、企業が自社で所有するメディアのことです。オウンドメディアを運用する企業が増加していますが、「ブログ=オウンドメディア」という勘違いをしている人がけっこういます。確かに企業が運営しているブログはオウンドメディアと言えるかもしれませんが、オウンドメディアはブログだけではないのです。
ブログ以外にウェブサイトも含まれますし、企業の広報誌、小冊子のように紙媒体もオウンドメディアに該当します。つまり、企業が所有している情報発信のためのメディアはすべてオウンドメディアと言っていいでしょう。
ブログ=オウンドメディアという誤解
オウンドメディアという概念は、トリプルメディア論という考え方が提唱されるようになってから登場したものです。広告出稿により費用対効果を測定するペイドメディア、フェイスブックヤツイッターなどのソーシャルメディアによって信頼を獲得していくアーンドメディア、そして、オウンドメディアの3つをあわせてトリプルメディアと言います。したがって、ブログはオウンドメディアのひとつに過ぎないのです。
ところが、最近の傾向としてオウンドメディアとしてブログを導入する企業が増加してきたため、「ブログ=オウンドメディア」という認識が広まってきたのです。
企業ブログとオウンドメディアの比較
ただ単にブログというとわかりにくいのですが、企業ブログと言い換えることでオウンドメディアとの違いがよりわかりやすくなるのではないでしょうか。
企業ブログとは
企業ブログというのは自社の商品やサービスに関する情報などを一方的に発信するだけの働きしかありません。企業に関することなら何でもブログの内容とします。どのような情報を発信するのかについて、以下で具体例をご紹介します。
企業内部の情報
社員が企業内部のことを書いてケースがあります。社員の日常業務について克明に紹介したりする場合があります。普段見せないような社員の素顔を見せることで、企業や社員に親しみを持ってもらうのが目的です。社外ではなく社内の人間に向けて情報発信するという場合もあります。これは社員の多い大手企業でよく見られます。
また、コーポレートサイトのように会社概要に関することをブログで情報発信することもあります。例えば、社名を変更したとか、組織変更、資本金、決算、会社の業績、財務情報などについてです。また、「どこどこの企業と提携しました」というような情報を発信することもあります。これなどは企業として外部へ向かって発信したい情報です。
商品やサービスの情報
既存の商品やサービスについてブログに書く場合もありますが、新しい商品やサービスのプレスリリース記事を書くことが多いです。商品の開発にまつわる話や、マーケティング活動についての記事を書くこともあります。「ユーザーが何人になりました」という具体的な数字を掲げて発信することもあります。
店舗に関する情報
店舗のある企業であれば、スタッフブログのスタイルで運営されていることが多いです。店長や店員の紹介に始まり、店内の案内、新しく開店した店舗のアピール、達成した売上げの紹介記事、お店の一押し商品の紹介記事などを書きます。また、スタッフの個人的なことを記事として書いて、読者に親近感を持ってもらおうとします。例えば、休日の過ごし方、趣味、生年月日、血液型の情報を掲載したりもします。
企業のことや社員・スタッフのことを知ってもらい、興味や関心を持ってもらうのが、企業ブログの目的と言っていいでしょう。ただし、その企業に興味のない人は関心を示すことはありませんし、一般のユーザーの目に止まることはほとんどありません。多くの場合、その企業や商品・サービスについて知っているお客を対象としているため、発信した情報が商品やサービスの購入に直接結びつくことがよくあります。
オウンドメディアとは
では、オウンドメディとはどういうものなのでしょうか。企業ブログとの対比で説明していきます。
オウンドメディアでも自社の商品やサービスに関する情報を発信していくのですが、あくまでもユーザーにとって役立つ情報をコンテンツとして提供していきます。それは決して企業の側が発信したい情報ではなく、ユーザーの悩みや問題を解決するものです。それらのコンテンツによりユーザーはオウンドメディアに集まり、見込み客や顧客へと育成されていくのです。
以上のような抽象的な説明ではわかりにくいので、具体例をご紹介します。
商品やサービスについての比較
ある分野の商品について、一定の切り口で比較したランキング情報をコンテンツとして提供することがあります。「2015年度人気レストランランキング」「東京で行列のできるラーメン店ランキング」「20代に人気のあるスマフォケースランキング」などのようなものが考えられます。ユーザーはランキング情報を知りたがるので、その情報を提供してメディアへ訪問してもらうわけです。
無料でダウンロードできるものを用意する
自分の欲しい情報などが無料でダウンロードできるのは、ユーザーとしてはうれしいはずです。無料なわけですから、自分が知りたいと思った情報やアプリはダウンロードをしまくるはずです。無料のものとしては、無料レポートや無料の資料請求、さらにはアプリなどがあります。
無料で役立つ情報や資料、アプリを提供することで、信頼関係を構築し、さらに見込み客へと育成していくのがこのパターンです。見込み客をファンにするのが目的なのですが、短期間でそのレベルに到達するのは難しいため、メルマガなどを利用してファンへと育成していきます。このファンへと育成するという考えは企業ブログの場合にはありません。企業ブログの場合は既に顧客であるユーザーを対象としているため、育てるというようなことはなくすぐに購入に結びつくことをゴールとしています。いわば、短期決戦といっていいでしょう。
なお、無料のコンテンツをユーザーに知ってもらう手段としては、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメデイアが強力な武器となっています。ユーザーにとって有益なコンテンツであると認知されると、信頼できる友人同士で拡散されていきます。そのスピードは驚くほどのものがあります。
お問い合わせ機能
オウンドメディアにはメールフォームなどでお問い合わせができるようにしてあります。ユーザーは悩みや問題を抱えていて、それを解決するための情報を求めてオウンドメディアを訪問します。
抱えている悩みや問題について応えてくれるのなら、問い合わせたいと思うはずです。このようなユーザーとコミュニケーションをとることで、信頼関係を構築するのがオウンドメディアなのです。ところが、企業ブログは一方的に情報を発信するだけでコミュケーションをとるスタイルではありません。
まとめ
オウンドメディアとブログの違いについて、ご紹介いたしました。ただブログと言うとオウンドメディアとの違いがはっきりとしなかったのに、企業ブログと言い換えることで違いがはっきりしたのではないかと思います。これからオウンドメディアを運営について検討される企業にブログがあれば、企業ブログなのかどうかについて見極めることが大切です。その上で、オウンドメディアの導入について考えられることをおすすめします。