オウンドメディア構築においては、「質」が最重要項目です。手間をかけて、ファンの満足のために質のよいコンテンツを読みやすく提供しつづけること。広告などで注目を集めてユーザーの気を引くあからさまな広告手法よりも、オウンドメディアのターゲットへの寄り添い方やスタンスが好まれています。そして見る目の肥えたターゲットを着実にファンに取り込んでいます。
複雑で比較的テキストの多いオウンドメディアだからこそ、良質のデザインでその複雑性や展開を調整、バックアップすることが大切です。
すぐにCVに結びつくオウンドメディアはない?
オウンドメディアのもつ複雑性は大切です。ひとつひとつのコンテンツを丁寧に、手間をかけてつくることも必要。じわじわと人の生活や思考と交流を積み重ねて認知してもらうことがオウンドメディアの特性なので、すぐにCVに結びつく即効性があるものとは言いづらいところがあります。…とは言え、効率を上げたいし、何よりCVを確実に上げたいですね。
「CV=訪問数×CVR」
CVはこのような単純な式で表されます。サイトに訪れた人数×訪問数のうち再訪した人数の割合。どんな人がどれくらいあなたのコンテンツに惹かれて訪れ、ファンになってくれるか。それが直接売り上げに数字として出ます。CVを上げるためには
- 訪問数の増加
- CVRの増加
この2点のかけ算で決まります。
コンテンツをコツコツつくり続けても、ユーザビリティがしっかりしていないと読んでもらえない。また、コンテンツをつくりつづけていると、やはりどこのサイトのコンテンツも似てくる部分はあります。そんなとき、足し算と引き算であなたのサイトをぐんとレベルアップすることができます。オウンドメディアのデザイン、UIにおける、足し算や引き算のコツをみてみましょう。
オウンドメディア+UIデザイン=ユーザーの感動
UIとは、ユーザーインターフェース。インターフェースとは接点や境界を表します。UX(User Experience)と一緒に語られることが多く、現在のデザインのトレンドでもあります。また、本質的にデザインという機能が抱える課題ともいえます。オウンドメディア構築の際にも、当然UIデザインの概念は必須であり大きな効果があります。
- UXとはそのサービスやメディアを通してどのような経験や満足をユーザーに与えることができるかを思考するデザイン。
- UI(User Interface)とはサービスやメディアにおける機能やコンテンツに視点を絞っていきます。
いかに分かりやすく、使いやすく正確に操作させることができるかを思考するデザインです。感動を与えファンをつくるための「経験」の前段階として、まず、感動を与える機能性、明快さが必要ともいえそうです。
「感動」を与える機能性、明快さとは何でしょう?「相互のインタラクションをシンプルにすることで、その背後にある潜在的な複雑さは増す」という、テスラーの複雑性保存の法則があります。スクロール+タップやドラッグ・アンド・ドロップとはかなり単純な操作ですが、その内部では多くの複雑な脳の処理が行われているはず。それら消化されない複雑性にも満足を与えながら、操作自体を「便利」で「使いやすい」メディアをめざしましょう。
それには、ユーザーの操作や選択、判断などのタイミングにおいて、不満ではなくよろこびという感動を与えることです。その積み重なりがユーザーにとって良質の「経験」につながります。UIデザインとは、ユーザーがかける手間や時間をうまく利用し、五感に刺激を与え感動をよびさますものといえます。それは、オウンドメディアという、まさに人間の思考や情緒にみられる複雑性がそのまま反映されたメディアと非常に相性の良いものです。
ユーザーの不満につながる無駄な操作を引き、感動を足すこと。これがオウンドメディアにおけるデザイン、UIのポイントです。
オウンドメディアに使えるUIデザイン
では、オウンドメディアにUIデザインを具体的にどう活かせばいいか、みてみましょう。
1.発信側がユーザーの視点に立つ
オウンドメディアはさまざまなツールを経てユーザーの手に届きます。そして、その接点はデジタル。ここでいうUIデザインは、デジタルという接点に摩擦や戸惑いをなくし、スムーズな相互コミュニケーションをはかることです。それには発信側がユーザーの視点に立ち、常にユーザビリティをチェックし改善することが有効です。
社内での伝達にSMSを利用する、情報共有を常に意識するなどといったコミュニケーションづくり、ネットワークづくりです。しくみをつくったとしても、確認しない人が出てくる、情報共有することで逆に手間がかかるなどといったトラブルが発生するもの。「ユーザビリティを全員が意識し、それぞれの効率アップのため、目標共有のためにデジタルコミュニケーションを利用する」という意識をまず全員が共有することが大切です。シンプルで動線、導線の明快なデザインが必須だということも、実感できるはず。
2.スマートフォンサイトのデザイン、UIは?
モバイルフレンドリーのデザインは今や必須でしょう。ユーザーの生活時間に入りこむようなかたちで、あなたのオウンドメディアに引き込めるとベストですね。ポイントごとに注意点をご紹介しましょう。
・スマートフォンは片手で使うことが多い。そのため、操作ステップを加味することが重要です。具体的には、
- 閲覧(スクロール)
- 選択(タップ)
- 書き込み
- 投稿(タップ)
この操作ステップをいかに減らせるかという視点に基づいたオウンドメディアの構築をしましょう。
・「別のブラウザーに飛ぶ」という手間は、そこで連続性が途切れるということであり障害になる場合が多いです。
・スクロールする時間=ユーザーが吟味する時間ともいえます。この時間が短すぎても長すぎても良くないでしょう。重要なのは次の2点です。
- 大きな決断をさせるためにはスクロールする時間を増やす=文字数や目を引く項目を増やす。
- 小さな決断を何度もさせるためにはスクロールする時間を減らす=文字数や項目を減らし明快にする。
・見出しの文字数をひと息に読める程度にすること。また、本文の内容が端的に分かりやすく示されていること、メリットがすぐに把握できること。画像でインパクトや印象を残す。そういった工夫が必要です。
・細かな部分でシンプルなアイコンを利用するなどして導線をつくること。サイト内に滞在してくれるユーザーにとって、次に行きたいコンテンツのアイコンが分かりやすいこと、決算のしやすさなどに気を遣いましょう。
・読みづらさの解消はもっとも大切です。適度な改行で余白をつくり読みやすくしましょう。
・タップすることの多いパーツは親指の位置に置くようにしましょう。
・スマートフォンの電話機能が活かせるように、電話からの申し込みも手軽にできればいいですね。コミュニケーションが深くなると、ユーザーが顧客につながる可能性が非常に高くなります。
3.PCサイトのデザイン、UIは?
スマートフォンサイトはどちらかといえば暇つぶしの側面があります。しっかりあなたの伝えたいことを理解してくれるコアな顧客を獲得するなら、PCサイトをたびたび訪れてもらうことが早道。スマートフォンサイトはスクロールが基本動作。たとえばiPhone5でスクロールせずにまず確認できる情報量は300文字程度、14インチのパソコンでスクロールせずにまず確認できる情報量は1300文字程度といいます。つまり、PCサイトではよりじっくり読ませる内容が、スマートフォンよりユーザーに受け入れられやすいということ。
ファンを獲得するには、オウンドメディアがユーザーのさまざまな日常に入り込むことがポイント。スマートフォンサイトのデザインにおけるシンプルで分かりやすいイメージや操作性がPCサイトにも取り入れられていますが、同時に内容の充実をはかることが大切です。
・今いる位置を常にユーザーに教えてあげましょう。読んでいる記事のタイトルを常に表示しておき、いつでもユーザーの興味の対象の変化を導いたり助けたりすること。PCのスクロールはスマートフォンよりやや手間がかかるという点があります。
・コンテンツの発信者プロフィールを明らかにしましょう。内容が重視されるだけに、さらに信頼を高める工夫、気遣いが大切。
・ブランディングを意識しましょう。サイト全体の統一性、同じサイトでも経路の違うレーベルを設置するなどユーザーの興味を尽きさせない工夫ができます。
まとめ
オウンドメディアはユーザーとともに成長することができるメディア。デザインにも大きな影響があります。課題を発見し解決していく。この繰り返しが大切です。
課題発見
↓
コンセプトやテーマの改変、ブランディング
↓
ペルソナやシナリオなどの想定
↓
ワイヤフレーム、フローの作成
↓
ユーザビリティや情緒的な影響を確認
テストを繰り返し、全体的に質の高いオウンドメディアを育てていくために、UIデザインの視点をもち足したり引いたりすることが大きな力になります。