オウンドメディアの構築でもっとも重要なことのひとつが、スマートフォンサイトを積極的に活用することです。日経BPコンサルティング(東京都港区)のまとめた結果によると、「携帯電話・スマートフォン“個人利用”実態調査2015」でのスマートフォン国内普及率が49.7%、前年の36.9%から12.8ポイントの伸長がみられます。(http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/news/1508/083101247/?rt=nocnt )
現段階で、国内の約半数がスマートフォンを利用しており、海外での高い普及率からみても、日本でもこれからも着実に普及していくものとみられます。
それを見越したように、Google公式ブログではGoogleモバイル検索順位決定要素として「モバイルユーザビリティアップデート」が追加しました。これは
- スマホ検索のみに影響する
- 全世界でアップデートを行う
- ウェブサイト全体ではなく、ページごとに影響
というもの。モバイルフレンドリーとは、そのサイトがモバイルに対応しているかどうかを表しますが、SEOの決定要素はページごとなので、モバイルフレンドリーでないページをモバイルフレンドリーにしていくことで再評価されます。
スマートフォンサイトをあなたのオウンドメディアに活かし、CVRにつなげるためにはどうすれば良いでしょうか? まずはユーザーに「読み飛ばされる」のではなく「読まれる」オウンドメディアを構築したいもの。それには、受給率が多く、送り手側が改善できそうなポイントについて、迅速なフィードバックが見込めるスマートフォンサイトを重視することが早道です。ファンを獲得するためにも、スマートフォンサイトに強いオウンドメディアを提供することは重要なポイントでしょう。
スマートフォンサイトでフィードバック→改善→ファンをつくる
スマートフォンサイトはPCサイトとどう違うのでしょうか?また、どんなふうにスマートフォンサイトの質を上げていけばいいか、もっと活用するにはどうすればいいか、ポイントを掘り下げて考えてみましょう。
1.スマートフォンサイトにおけるSEOのポイント
GoogleがチェックしているSEO対策としてのポイントはこちら。
- モバイル端末で、Flash など一部の人しか持っていないソフトを使用していないかどうか。
- ズームなどの手間をかけなくてもテキストがきちんと判読できるかどうか。
- コンテンツのサイズは画面のサイズと一致しているかどうか。ユーザーにとって使いづらい負荷をかけていないか、横へのスクロールやズームの必要をできるだけ減らすこと。
- タップしやすい画面かどうか。それぞれのリンクがくっつくように配置されていると、目的のリンクにアクセスしづらいというストレスをユーザーに与えてしまいます。
これらをあわせて、Googleのモバイルフレンドリーテストでページをチェックしましょう。スマートフォンに自動対応するレスポンシブデザインは便利ではあります。
しかし、スマートフォンサイトで「読める」コンテンツをつくりファンを獲得するには、ユーザーのモビリティを考え、さらにUXに即した根本的なコンテンツづくりが必須です。UXとはユーザーエクスペリエンスデザインのことで、「ユーザー経験」と訳されます。
2.フィードバックをしっかりとり、迅速にサイト改善に役立てる
オウンドメディアの構築には、効果を確認しながら改善していくことが必要になります。スマートフォンを使用するときのユーザー行動とはどういったものでしょうか?ここをよく分析してサイトの質を向上させることで、大きな効果がでるはずです。ユーザーの行動からフィードバックをとり、アクセス解析、コンテンツごとの需要、サイト内にユーザーがとどまっている間の行動を分析すること。
スマートフォンサイトではこのフィードバックがとりやすいともいえるでしょう。UXにおける評価項目を多く想定でき、スマートフォンでユーザーがとるアクションが比較的速いからです。スクロール&タップのスムーズさと、決済などのアクションの頻度はつり合っているでしょうか?スマートフォンユーザーとしてのフィードバックをしっかりとること、戦略的に改善していくことで、より速く、深いファンを獲得することができます。
3.スマートフォンサイトの改善=UX(ユーザー経験)の充実
PCもそうですが、持ち歩かれ使いこなされるという機能をもつスマートフォンは、UXのたまものといっていいでしょう。ユーザーがデジタル機器や、システムに出会ったとき、「どのように対象の特質に気づき」「学び」「使うか」をよく観察、分析する必要性に重点をおいて開発されてきました。
質や切り口のアイデアの集積であるオウンドメディア構築力
+
スマートフォンサイトにおける質の高いUXノウハウ
この2つの質を高めることで、あなたのオウンドメディアは最大限の効果を出すことができるでしょう。「スマートフォンサイトの分野で魅力あるオウンドメディアを構築し、運営できるようになるということ」=「UXのポイントをしっかり理解できるので、その知識をさまざまな場面に活用、応用できるということ」といえます。
スマートフォンユーザーのUXを理解し、オウンドメディアの効果を確実に
オウンドメディアの構築、運営には手間がかかります。丁寧にコンテンツを作り込み、効果を測定し、質と量、斬新なアイデアによるたびたびの改善が必要なメディア。それでも多くの企業に受け入れられているのは、やはり効果が高く、深いからでしょう。
そして、質の良いファンを獲得できているという実感が企業側にあるから。ユーザーは魅力あるサイトに引き込まれリピーターになることで、その企業の本質的な価値をたしかに受け取ります。スマートフォンにおいては、ユーザーと企業との確実な信頼関係が築かれる土台が整っているということです。
スマートフォンを使うとき、人は積極的に自分の潜在的な目的に合致するものを探しています。そのため、
- ユーザーの目的に合致する価値を提供できている
- モバイルフレンドリーが達成されている
この2点が達成されていれば、あなたのオウンドメディアを見つけてくれる可能性が高いといえます。そして、「スマートフォンサイトでの見やすさ、使いやすさ」とはまったく違う、「スマートフォンサイトでユーザーにとって意味のある経験を提供すること」ことで、あなたのオウンドメディアの効果をぐっと引き上げることができます。
飽和状態にも思える情報量の多さをかいくぐり、いかに意味や価値のある内容のコンテンツをユーザーと出会わせるか。試行錯誤し、ユーザーを満足させるUXをきちんと理解することが必須です。
まとめ
スマートフォンというツールは、スキーマの概念を意識し活用することで、どんどん成長してきたといえるでしょう。オウンドメディアを考えるときに、このスキーマの概念を理解し活用することが、UXに即した構築に役立ちます。スキーマとは心理学用語で「既有知識」を指します。人が新しい経験をする際、個人の過去の経験に基づいてその経験を受け取り判断します。
認知するときにはたらく枠組みのことをスキーマといい、わたしたちがひとつの言葉や徴に刺激されることで無意識的に連想をはたらかせ、イメージを増幅していくのは、スキーマの機能が備わっているからです。タップやスクロールなど、身体動作をつねにともなうスマートフォンサイトでは、こういった無意識的な部分に対して細やかな気遣いをすることが必要です。また、あなたのオウンドメディアに飛び込んできたユーザーが、そのサイト内で良い時間を経験し、それを重ねることで、ひとつのスキーマができるともいえます。
- ばらばらのコンテンツのおおもとには、ひとつのスキーマ、枠組みがあることが必要です。つまり、コンセプトやブランドが重要ということ。そこから外れない、内容のともなったオウンドメディアを構築しましょう。
- ユーザーのスキーマを刺激し誘発する工夫をこらしましょう。経験させ、五感で感じ取れる場面をつくりましょう。また、「楽しい」「嬉しい」という興奮と「落ち着く」「安心する」という静寂を提供することで脳のスイッチを切り替えさせ、ユーザーを飽きさせないようにすることも大切。さくっと読めてすぐにユーザーの役に立つコンテンツと、ときには連載ものなどでじっくり興味を惹きつけるコンテンツを共存させるなどの工夫です。
- 人が対象に興味を寄せ惹きつけられるとき、「新しい発見に対する感動」がその人のなかで起こります。五感を刺激すること、感情を刺激しドーパミンを分泌させることは、この感動の経験を導くことです。
これらのことにポイントをおき、今や必須であるスマートフォンサイトでのオウンドメディアを展開していきましょう。