オウンドメディアはIT業界だけでなく、その他の業種でも大きな注目を浴びていて、運営を開始している企業も増加してきています。まだオウンドメディアを導入していない企業でも、「自社でも導入した方がいいのではないか」と考えていることでしょう。
では、どんな企業でもオウンドメディアは導入すべきかといえば、そうとも言い切れません。オウンドメディアがどんなもので、その果たす役割について理解できていなければ、導入すべきではないでしょう。
オウンドメディアの果たす役割
オウンドメディアとは「企業が発信したい情報を、消費者やユーザーの目線でコンテンツを作成し、発信するメディア」のことです。この定義については既に別の記事で解説しましたので、そちらをご覧ください。
オウンドメディアの役割を理解するには、従来の広告の役割と比較するといいでしょう。
まず、広告は一方的にユーザーにアプローチして購買を促すものであり、ユーザーとのコンタクトはある日突然に引き起こされる偶然のものです。確かにオウンドメディアでも、自社の商品を知ってもらい、好きなって購買するという点では類似しています。
ところが、オウンドメディアの場合は、コンテンツによりユーザーを集め、その行動履歴や属性を把握し、顧客へと変換していきます。ユーザーとのコンタクトのきっかけは必然的なものなのです。また、有益なコンテンツが蓄積してくることにより、検索エンジン経由で流入してくるユーザーを増加させ、プラットフォームとしての役割を果たすようになります。
オウンドメディアを運営すべき7つの理由
オウンドメディアが果たす役割を理解した上で、以下ではオウンドメディアを運営すべき理由について説明していきます。
1.顧客や見込み客を育てることができる
オウンドメディアは、ユーザー目線でコンテンツを作成し提供するため、自社の商品やサービスに関心のあるユーザーを集めることができます。本当に商品が欲しい、あるいはサービスを利用したいという人を誘導し、見込み客・顧客へと育成していく戦力を立てることが可能です。
また、オウンドメディアを長期にわたって運営することで新しいキーワードによるユーザーの流入も増加し、定期的にアクセスしてくるユーザーを会員にすることもできます。満足度を高めることにより、顧客に商品を購入してもらい、コンテンツを拡散して、さらに優良な顧客を育成していくのがオウンドメディアの中心的役割です。このようなサイクルが確立されると、企業は長期的に顧客との信頼関係を構築し、売上げも安定化してきます。
2.ソーシャルメディアでの情報拡散が簡単にできる
オウンドメディアをハブとしてコンテンツにより情報発信するようになると、ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディア使ってより多くの人に情報を拡散しやすくなります。
ここで注意すべきことは、ソージャルメディアで拡散するコンテンツは、企業の発信したい情報ではないということです。ソーシャルメディアは、ユーザー同士が自分にとって有益な情報をシェアし合い、コミュニケーションをとっていくためのものです。決して商品や購入をするために利用しているわけではありません。
つまり、企業が一方的に自社の商品やサービスについてのコンテンツを発信したとしても、それはユーザーが望んでいるものではないのです。ユーザーにとって役に立つ質の高いコンテンツを発信することで、ユーザーの共感を呼び起こしオウンドメディアへと誘導することが可能となります。
3.効果測定をして検証が可能
広告に比べると、オウンドメディアは効果を正確に分析することができます。特に検索エンジンを経由して訪問したユーザーについて、緻密な分析をすることが可能です。
例えば、訪問経路、訪問ページ、リピート率、検索キーワードからユーザーのニーズなどを知ることができます。これらを分析することで、サイトをどういう方向性で改善していけばいいかが明らかになってきます。また、その後の広告出稿やマーケティング活動の参考にすることも可能ですし、コンテンツが訪問者の増加にどのように貢献したかもわかってきます。
4.広告に依存しないマーケティング戦略が可能
広告、いわゆるペイドメディアは費用をかけただけ広く認知され、集客できる可能性があります。ただし、広告で多くの人に認知されたからといって、すべての人が商品やサービスに興味を持ち、顧客になるわけではありません。
また、ソーシャルメディアの普及に伴い、顧客は一方的に情報を受けるのではなく、友人からすすめられた情報を元に、商品やサービスの購入を決定するようになってきました。そのため、企業から一方的に情報提供される広告は敬遠されるになり、広告費用をかけてもそれほど効果が期待できない状況になってきました。
この点、オウンドメディアはユーザーにとって有益な情報を発信するため、過剰な広告費をかけるようなこともなく継続的なマーケティングを行っていくことができます。また、広告ではアプローチできなかったようなユーザーともコミュケーションをとることが可能となり、長期間にわたってユーザーと信頼関係を構築していくことも可能です。オウンドメディアは、ユーザーを自社の商品やサービスのファンにしていく役割を果たすことができます。
5.ストーリーによるファンの育成
現代では商品やサービスの比較が簡単にできるようになり、ストーリーのない商品やサービスは過剰な価格競争や宣伝合戦に巻き込まれています。たとえその競争に勝てたとしても、そのような顧客はより安い商品やサービスへと目移りし、離れていく可能性があります。顧客が繰り返し訪問し商品やサービスを購入するようになるには、何度も訪問したくなるようなストーリーが必要です。
この点、オウンドメディアはユーザーにとって魅力的なストーリー戦略を立てやすく、付加価値の高いコンテンツを生み出し続けるには最適なハブにすることが可能です。
提供すべき高い付加価値のコンテンツとしては、ユーザーの抱える悩みを解決できる方法を提示するのが最適です。このようなコンテンツを提供することで、ユーザーは繰り返し訪問し、信頼関係を構築していくことができます。ストーリーのあるコンテンツを提供することにより、ユーザーをファンへと育てていくのがオウンドメディアの役割です。
6.コンテンツが資産となり強力な武器になる
オウンドメディアは、ユーザー目線でコンテンツを作成・発信していくことができ、それは資産となって蓄積されていきます。ソーシャルメディアとの相性も良く、検索エンジンで上位表示されやすくなります。
また、コンテンツによって得られる効果を分析し、PDCAサイクルで検証を繰り返していくことで、優良な顧客を育てていくことができます。良質なコンテンツが顧客とのコミュケーションの強力な武器になるというわけです。
7.新しい市場を創造できる
ユーザー目線で作成したコンテンツを提供し続けることで、信頼関係を構築することができます。その上で、企業が独自のコンテンツを特定のユーザーに発信していくことで、新しい市場を創造することもできます。ストーリー戦略によりユーザーの共感を呼び起こし、自分のことのように感じてもらうのです。
まとめ
オウンドメディアを運用すべき7つの理由についてご紹介しました。確かにオウンドメディアを運用するメリットは大きいのですが、間違ったやり方で運用したとしても良い成果が期待できないでしょう。また、短期的な成果を目的とするのも誤った考え方です。長期的な戦略を立て、じっくりと時間をかけて取り組んでいくことにより、ユーザーとの信頼関係を構築しファンへと育成していくことが可能となります。このことはしっかりと肝に銘じておいてください。